本紙第1546 号(平成16年6月24掲載)

合図した道路工事誘導員の過失を認めたが信号、対向車を確認せず直進訴外車と衝突した右折X車に70%の過失

東京地裁 平成15年9月8日判決(控訴和解)
事件番号 平成13年(ワ)第26503号 求償金等請求事件


事実の要旨
原告所有の普通貨物車は、平成12年3月18日午前2時30分ころ、Xが運転し川崎市川崎区内交差点を被告雇用のY誘導員の合図を見て右折中、対向直進訴外乗用車と衝突、横転、両車両とも大破全損となり、原告は6万3,013円を、損害を填補した甲保険会社は378万3,556円を求めて訴えを提起した。
裁判所は、右折車と直進車の事故で道路工事誘導員「Yの行為と本件事故との間には相当因果関係がある」とし、警備会社に賠償責任を認めたが、信号確認、対向車確認に「重大な過失があった」右折車とYの「過失割合は70対30」と認定した。
道路工事と右折禁止の看板を見て直進しようとしたX車は、先行タクシーが右折ウインカーを出して右折するのを目撃、同様に右折すべくウインカーを出し接近すると、誘導員が誘導灯を振り「右折しても構わない」と判断、直進、左折可信号で右折したところ、対向車両と衝突した。
誘導員は、運転者とのトラブル回避のため、右折ウインカーを出して接近する車両には「誘導灯で右折してもよい動作をしていた」等から、誘導員「Yの行為と本件事故との間には相当因果関係がある」と警備会社に賠償責任を認めた。
しかし、誘導員の「合図には道路交通法上何ら格別の権限が与えられたものではなく」合図に従うか否かは「運転者の規範意識によらざるを得ない」ので、Xは直進・左折可信号と対向車の有無の確認という「基本的な義務に違反するという重大な過失があった」「XとYの過失割合は70対30とみる」と認定した。

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