本紙第1539号(平成16年5月6掲載)

居眠り運転の事故で助手席同乗者に自らも居眠りをしない義務はない、と居眠り危険関与による好意同乗減額を否認した

大阪地裁 平成15年8月27日判決(確定)
事件番号 平成15年(ワ)第1841号 損害賠償請求事件


事実の要旨
27歳男子独身運転手のAは、平成12年5月6日午前2時10分ころ、岡山県笠岡市内の高速道路で友人被告運転、被告会社所有の大型貨物車の助手席を倒し仮眠中、100キロメートルの速度で被告が居眠りし加速車線に進入、大型貨物車の後部に助手席側を追突させ、コンクリート製防音壁に衝突してAが車外に放り出されて死亡したため、両親と養父は自賠責保険3,000万2,200円を控除し8,152万1,479円を求めて訴えを提起した。
裁判所は、居眠り運転による事故で助手席同乗者が死亡した事案で助手席で仮眠していたことが運転者の居眠りを誘発した危険関与には当たらないと好意同乗を否認し、車外に放り出されているが、時速100キロメートルでの追突により助手席側が大破していることでシートベルト不装着の過失相殺も否認した。
居眠り運転をした被告は、職業運転手で「昼間帯に仮眠をとって夜間走行に備えるべき」であるのに対し、友人の被告に誘われて同乗したAには「居眠りをしないようにすべき義務は認められない」「居眠りを誘発したと主張することは許されない」「好意同乗減額は認められない」とした。
シートベルト不装着に関しては、時速100キロメートルで加速中の大型貨物車右後部に助手席側を追突させ、コンクリート防音壁にも助手席側を擦りつけ大破していることから「シートベルトを装着していたとしても、Aの死亡の結果を防止できたとは認め難い」と過失相殺を否認した。
27歳男子運転手のAは、2年前入社で実収入がセンサス同年齢の62%相当である等から、死亡逸失利益はセンサス全年齢平均の80%を基礎に認定した。
母親には1,150万円、Aと同居の養父には920万円、約18年前離婚音信不通であった実父230万円の慰謝料を認めた。

※ 判決文章等の詳しい内容は、本紙掲載号をご参照下さい。